明日へ向かって一歩をふみ出そう
「歩」の中国古代の文字は、足あとを示す「止 」とその左右反転した形を組み合わ せた形をしています。左右の足あとを前後に連ねて、歩みを進めるという意味を表します。タンザニアの国立公園に生きる、あるライオンの群れを9年間追い続 けたドキュメンタリー番組のなかで興味深い説を知りました。サバンナの王者にたとえられるライオンが王者となれた理由は、いち早くサバンナを生存の場とし たからである、というものです。
もともとライオンの祖先は森を住みかとしていましたが、その体つきや生態が森には適さないため、森の動物としては弱い立場にあった。そこで、豊かな 森を捨てて食べ物にとぼしい草原にあえて出た。その後、アフリカ全体の気候が激変すると、草原の生存に一日の長があるライオンがサバンナの王者となった、 という説です。
その仮説が正しいとすると、人類の歴史も同じだったのではないか、と想像できます。
他の動物と比べて弱い立場であった人類の祖先が、生き延びるために森を捨てた。
あえて厳しい場所に出たことによって、人類の文化の発展をさせていった。草原に出たことが人類の二足歩行をうながすきっかけとなったという説もあります。未知の大地が人間を人間として形づくったといえるのではないでしょうか。
雨期が終わり、ぬかるんだ大地にライオンが、人類が生きんがために一歩をふみ出す。
大地がかわいてゆき、その足あとが残る。大地に延々と続く足あとが生きた証となる。
そのような一歩をいっしょにふみ出しましょう。